アルバムレビューです、スイスのメロディックデスメタルバンドの Eluveitie (エルヴェイティ)の2019年リリースのアルバム「ATEGNATOS (アテグナトス)」、エルベイティは民族楽器を多用するのでフォークメタルと呼ばれることも。
ケルトを意識したスイスの稀有なバンドです。現在は9人編成で、ツインギターにベース、ドラムの通常編成に更にハーディガーディ(機械仕掛けのヴァイオリン)、ホイッスル(アイリッシュホイッスル?)、フィドル(ヴァイオリン)、ケルティックハープ、マンドラ(一回り大きいマンドリン)、バグパイプなど多種の民族楽器を加えた非常に珍しいバンドです。ヴォーカルはクリゲル・グランツマン(Chrigel Glanzmann)の男性デスヴォイスとファビエンヌ・エルニ(Fabienne Erni)
の女性ヴォーカルのコーラスが主体です。ヘヴィーなサウンドと、メロディックな音楽が好きなら激押しです。(デスボイスが平気ならですが・・・)笛メタル分野では最強レベルかも。Korpiklaani(コルピクラーニ)からお笑い要素を省いて、デスメタル化したような感じですかね。映画で例えると、ロードオブザリングのような雰囲気です。
2006年の1stアルバムのSpirit (スピリット)、2008年の2ndアルバムのSlania (魔笛の国のスラニア、日本盤名)は文句なしの出来で神盤でした。その後の3rd Album から Metal要素がほぼ消えて、個人的にはつまらないバンドへとなり果て、もうこのエルヴェイティの新作も最近では忘れかけていました。ですが、Burrn誌のレビューでメタル要素が復活したという噂だったので、少しだけ期待をして購入、という経緯です。
ELUVEITIE 「ATEGNATOS」
2019. スイス
スクリーム・・・デスヴォイス+女性ヴォーカルのコーラスなど
評価・・・89点
1曲目の アテグナトス は民族楽器と女性Vocalのコーラスで神秘性を醸し出して、Slania時代を彷彿させるデスラッシュなリフを叩き込んでくる、、、おっ、これは完全復活じゃないか!!秀逸は5曲目A Cry In The Wilderness,11曲目のWorship、13曲目のThreefold Death 、15曲目のRebirth などは特に民族楽器群と美しい女性ヴォーカルに疾走系のリフのヘヴィーなサウンドを加えて素晴らしい出来です。1st、2nd時代のギタリスト Ivo Henzi (イーヴォ・ヘンツィ)とSime Koch (シーメ・コーチ)の神がかり的なリフには敵いませんが、ほぼ同じ世界観を引き継いで再現しているのは見事です。現ドラムスのAlain Ackerman(アラン・アッカーマン)も頑張っていますが、前任のMerlin Sutter (マーリン・スーター)にはやはりまだ及ばないかな・・・。17曲目以降はボーナストラックで、日本版は21曲目まで。次回作も大いに期待できそうです。